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コラム

法とイノベーション:出張自動車整備

投稿を2年近く怠ってしまって非アクティブだと思われるので、久々に投稿します。イノベーションを阻害する規制として、直近で強い課題意識を持っているものです。多くの変えるべき規制があることを痛感してます。

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自動車整備業界で異変が起きている。人手不足である。2000年初頭には毎年約12000人が自動車整備学校に入学していたところ、現在は約6000人と半減してしまった。低給などを原因とした離職も多く、有効求人倍率はなんと4.58(2021)である。ディーラーにおける不正車検の報道が後を立たないが、これも人手不足が原因だと言われている。

こうした状況で立ち上がったのが株式会社Seibiiというスタートアップである。数百人の自動車整備士(国家資格)を抱え、出張による自動車整備を行っている。プラットフォームとして整備士とユーザーを繋ぐが、単なるマッチングでなくSeibii自身がサービス提供者となっている。出張であり自由な働き方が可能であるため、離職して他業種に移ってしまった整備士がSeibiiの整備士として自動車業界に戻ってきている。また、自動車整備士の副業の機会も増やしており、自動車整備業界の人材不足という社会課題に大きく貢献している。ユーザーにとっても、工場に車を持っていかなくても、自宅にいながら整備を受けられる。これにより自動車の安全にも寄与している。

歴史のある大きな産業に対して新たなイノベーションの風を吹かせている、まさにイノベーターである。

ところが、ここでも規制の問題がある。出張の自動車整備でできる作業が非常に限定されているのである。例えばエンジンやブレーキなどのボルトを少しでも緩めるような作業など、多くの作業が「分解整備」と定義づけられる。そして、この「分解整備」は一定の広いスペースを持つ認証工場でなければできない。もちろん自動車の安全性は重要である。しかし、工具が小型化し、自動車の技術が変化した現在では、広いスペースがなくてもできる作業は多い。国家資格を持つ自動車整備士が行うのであれば基本的に安全であり、広いスペースが必要というのは多くの作業において根拠に乏しい。工場でなければ自動車整備ができないという戦後直後にできた古い規制がそのまま残ってしまっているのだ。

海外では、出張で自動車整備を行うことは当たり前になっている。例えば、米国カリフォルニア州では、Mobile Automotive Repairという制度があり、車検証発行のためのブレーキシステムと照明システムの調整、排気ガス審査は工場で実施する必要があるが、それ以外は全て出張で作業可能である。

日本でも、出張でできる自動車整備の範囲を広げるべきだ。もちろん無条件ではなく、広いスペースを要しない作業に限定したり、出張先の作業スペースの要件(平滑か否か等)などの安全対策は必要であろう。しかし、今の規制では範囲が狭すぎることは明らかだ。社会課題を解決するイノベーションを阻害しており、かつ現状の規制根拠が乏しくなっている法規制である。法とイノベーションの問題であり、まさに当事務所が全力で取り組まなければならない案件である。